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【ネタバレ】ズートピアについてたくさん語りたかった。

動物の楽園、ズートピア

アナと雪の女王、ベイマックスに続いてすごいディズニー映画だ! 面白かった! 面白すぎて2回(字幕と吹き替え)観に行った!

ストーリーを一言で説明すると、ズートピアで初めてのうさぎ警察官であるジュディが、キツネの詐欺師ニックと共に、カワウソ行方不明事件を解決しようと何やかんやする話しです。






何となく日本人が同じような作品を作ったら動物たちの等身合わせるだろうなあと思うのですが(それが悪いわけではない)、ディズニーは今回動物たちの等身をなるべく守っていてびっくりしました。だって絶対身長差で映らない子出てくるでしょう。

それをうまいこと作中で説明している。すごい。レミングスもキリンも同じ世界に、それぞれの大きさを保ちながら生活している。なんだこの世界観、不思議だ、すごいやと感動しました。


各動物たちに対するのイメージ




作中、キツネは信用出来ない、とか、うさぎは警官になれないなど、偏見やら差別やらが出てきます。この動物ごとの偏見、観てて思ったんですが、海外によって偏見違ったりしないのかしら。どこの国も「キツネはずる賢くて信用出来ないぞ」と思ってるんでしょうか。ごん、お前だったのか。

うさぎが警官に〜のところはまあちっこいし、確かに白くまとかサイとかのが向いてそうかな、と。


偏見とか差別とか

ズートピア、前半はうさぎ警官のジュディが偏見とか差別に立ち向かって夢をかなえる話のように見えていました。

実際、前半のジュディは水牛のボゴ署長から実力を認めてもらえず駐車違反係に配属されてしまいます。

けれど、ひょんなことからいなくなったカワウソのオッタートンを48時間以内に探すことになり、失敗したら警察を退職する約束をします。

そしてズートピアで行方不明になったカワウソを追っていく内に、ジュディたちは他に行方不明になっていた14人も見つけ出し事件を解決します。

いなくなったのは肉食動物ばかりで、凶暴化してしまった彼らを隠そうとしたズートピアのライオンハート市長が犯人だったのです。というのだけで、綺麗なディズニー映画になりそうですが、このズートピアはなんとそこまでが前半でした。





ジュディは肉食動物たちが凶暴化した原因に関して、解決後の記者会見で「彼らの本能のせいで凶暴化したのでは」と発言します。それにずっと行動を共にしていたニックはショックを受けます。「君は肉食動物である自分も怖いのか」と。

ここでジュディは「あなたは彼らとは別だ」と答えます。でも、ジュディの言う「彼ら」って? 何が「あなたは別」なのか。

ずっと「うさぎは警官になれない」と差別を受けてきたジュディにすら、肉食動物への偏見があったことが明らかになります。

そもそもジュディはすでにキツネへの偏見があるような描写がありました。ニックと初めて会った時、ニックを怪しいと感じたのは、彼が挙動不審だったからなのか、それともキツネだったからなのか。


「世界をより良く」を目指していた正義の警官にも偏見がある。「偏見に負けずに頑張る映画!」と思っていたらいつの間にか「お前の中にも偏見あるんじゃないのか?」と問われているような映画になっていました。
「うさぎは警官になれない」と言っていた人たちの方がわかりやすく、自分が差別をしていることを理解している気もしてきます。

記者会見での発言で、ニックと仲違いをしただけでなく、肉食動物たちへの差別を助長させることになってしまったジュディ。愛嬌ある受付のチーター、クロウハウザーは、肉食動物だからという理由で地下室に移動させられてしまいます。世界をより良く、を目指したはずが、結果としてこれまでのズートピアを壊してしまい、ジュディは警官をやめて故郷に帰ります。


その故郷で、ジュディは子供の頃に「俺は肉食動物だから気をつけろ」と自分をいじめていたキツネのギデオンに再会しました。子供の頃にジュディは彼によって怪我をしています。

ギデオンは大人になり、パイを作って(うさぎパイじゃないよ!)、ジュディの両親と一緒に商売もしているようです。

面白いのは、序盤であんだけキツネには気をつけろと言っていた父親が、あっさりとギデオンを受け入れているところです。

ジュディのおかげよと母親は言っていましたが、実際はキツネという「種」ではなく、ギデオンという「個」と接したことでギデオンが良い青年になっている事に気づき、彼を受け入れたのでしょう。

そんなギデオンはジュディと再会すると、なんといの一番に「昔は悪かった」と謝ります。なんの前置きもなく。そうとう気にしていたのでしょう。何と言っても友達の顔に遠慮無く傷つけたわけですからね。

そんな彼の謝罪の中には「肉食動物だから」「キツネだから」という言葉はありませんでした。「自分に自信がなくて、怒っていた」とジュディに言います。


自分の「種」という生まれのせいではなく、彼自身の問題として向き合っているのです。めっちゃ大人じゃないですか。つまり彼は私たちで言うところの「日本人だから大人しくて意見を主張できない」と言わず、「若いころは自分に自信がなくて、意見ができなかった」と自分自身の弱さを認めたのです。自分を何かにカテゴライズして言い訳するのではなく、本当の自分と向き合っている。

ジュディがそんなギデオンと会った後、肉食動物たちが凶暴化した原因が「夜の遠吠え」という植物が原因であったことが発覚します。ジュディの親戚も、夜の遠吠えのせいで、凶暴化していたことがわかります。

つまり、肉食動物の彼らは野生という本能に「戻った」のではなく、「凶暴化」していたことがわかります。肉食だろうと草食だろうと関係無かったのです。

そのことに気づいたジュディは再びズートピアへ戻り、ニックを探してもう一度真相を突き止めに行きます。

ニックと和解し、ジュディは黒幕が副市長のベルウェザーだったことを知ります。
ベルウェザーは「夜の遠吠え」をニックに撃ち込みます。凶暴化して今にも襲いかかってきそうなニックを見つめるジュディ。


これまでのディズニーならば「真実の愛」で、ニックを元に戻したと思います。けれど、今回の問題である差別や偏見は、個人に対する真実の愛ではなく、誰であろうと、相手と向き合うという知性や理性が必要になります。

ジュディとニックは感傷的、感情的にならず、考えを巡らせて、理性的にベルウェザーの計画を止めます。二人は少し前に「夜の遠吠え」をブルーベリーに差し替えていたのです。
調べたらブルーベリーの花言葉は「知性」や「信頼」を意味するらしく、このシーンにぴったりですね。アメリカでの花言葉はまた違うかもしれませんが。




誰の心の中にも少しの偏見や差別の意識がある。それは両親から与えられたものかもしれないし、小さい頃にいじめられたからかもしれない。
それを自覚して、勇気を出して、理性的に「個」である相手と向き合うことが必要になります。ジュディとニックは、お互いに違うからこそ、相手がどういう人なのか対話しながら、どう共存していくのか(相手を認めるのか)を求められていました。




実は作中にも「種」にとらわれず、「個」を強く表しているキャラクターが何人か登場します。

ひとりは受付のドーナツ大好きクロウハウザー。彼は足の早いチーターの「くせして」ぷっくりまんまる、ドーナツ大好き。カワウソのオッタートン夫人にもするりと逃げられて、追いかけると息を切らして腰を抑えます。チーターのくせして! なんなのかわいい!

他にもジュディとニックが聞き込みで行ったナチュラリストクラブのヤクと象。

ヤクは、象は記憶力がいいと言いますが、象は全く手がかりになりそうなことを覚えていません。ここでも「象は記憶力がいい」という偏見があります。しかも「象みたいな記憶力がほしい」と偏見とも取れるヤクのセリフがあります。でも、実はヤク自身が車のナンバー覚えているほど記憶力がいい(しかも自覚なし)と、ちぐはぐなのです。

Mr.ビッグに関してもそんな偏見を表しているのかもしれません。もちろん笑いを取ろうとしたのでしょうが、Mr.ビッグという名前からジュディは大きなシロクマを見て「ああ、彼がMr.ビッグね」と一人で納得してしまいます。でも、実際はジュディの手の平ほどしかない大きさの、トガリネズミがMr.ビッグだったという。

最後にオチを持って行ったあのフラッシュだってそうかもしれません。ナマケモノは遅い!! という概念を覆しました。


こんな風に、何かにカテゴライズされているけれど、それに囚われず、いろんな人達がいるのだということを、ディズニーは作中で表現していたのかなと思いました。


ズートピアはユートピアではないけれど、共存していく道はあるのだと希望の持てる話でした。


アイテムの変化と心境の変化

作中に主に2つのアイテムが出てきます。これが話が進むごとに役割変わってくるんですよ!  こういう伏線大好きだ!


1.にんじんペン




録音機能付き。
ジュディとニックの関係を作ったもの→ジュディとニックの関係を再び繋ぎあわせたもの→ジュディとニックの二人の切り札として変化していきました。


2.警官シール




ジュディが当初、プレゼントとして、ニックの詐欺仲間フィニックにあげたものです。ですが、ニックがジュディに協力することになった時、フィニックからニックへ渡ります。ここでこのシールはジュディとニックを繋ぎあわせているシンボルになります。
実際、ニックは14人の行方不明者を発見した祭、まるで許可証だと言わんばかりに警官シールを見せつけています。

しかし、記者会見後の喧嘩で、ニックは警官シールを捨ててしまいます。結局、警官シールは子供用のオモチャ。嘘の関係を表していました。後にジュディも警官バッジを捨ててしまいます。
その後の再会では、警官としての相棒ではなく、ただのジュディとただのニックで協力しあいます。ここで本当の絆ができるのだと考えると熱いものがありますね。
そして、最終的に本物の警官バッジをお互いに手に入れ、心から信頼したバディとなりました。

他にも先に述べたブルーベリーだとか、伏線にも繋がるアイテムがあって楽しいです。


パロディ半端ない。





ズートピアのポスターを見るとすぐに分かるんですが、有名なNIKEのコピーである「JUST DO IT」が「JUST ZOO IT」になっていたり、
「Samantha Thavasa」が「Savannah Thavasa」になっていたりと人間の世界の商品をズートピア風味にうまいこと書き換えています。

ポスターだけじゃありません。作中に、ディズニー映画の海賊版が販売されているシーンがありますが、そこで出てくるのが「BIG HERO 6」が「PIG HERO 6」になっていたり、「アナと雪の女王」が「ラッコと海の女王(うまいのか?)」になっていたり(吹き替えと字幕版を見ているのでうろ覚え)。ていうかディズニーさん、海賊版販売とか作中で表現しちゃって良いんですか! 皮肉ってますね! しかも販売しているイタチの詐欺師、ウィーゼルトン公爵(これもアナ雪のウェーゼルトン公爵のパロディ。Weaselはイタチの意味。別に「ずるい人、密告者」の意味もあります)を海賊版販売によって逮捕するわけじゃないところが何だかおかしい。


作中にウェーゼルトン公爵ネタだけでなく、ちょいちょいアナ雪をイメージさせるあれやこれやが散りばめられており、ちょっとにやにやしやいます。

Mr.ビッグのシーンもゴッドファーザーww



動物の名前の意味にこめられたもの。

先の「ウィーゼルトン公爵」のWeaselは英語でイタチを表していますが、別の意味に「ずるい人、密告者」という意味があります。名は体を表すとは言ったもので、彼の自身の役割をそのまま表す名前になっていました。彼は「泥棒」として逮捕された後、重要な手がかりとして犯人に繋がる人物の名前をあげます。まさしく「ずるい人、密告者」(正確には密告しているわけじゃないけど……)

というか、これを見ていてふと思って色々登場動物たちの名前を調べたんですよ! そしたらさあ! 名前からネタバレしてるやつがいるんですよ!


それが「ベルウェザー」さんなんですよ!! この羊さあ! bellwetherって書くじゃん! 意味的にね、アルクでね、調べたらね! 「〔羊の群れを先導する〕鈴付き羊、先導者、先導[指標]となるもの」→副市長として草食動物のトップに君臨する人。すごい! そのままの意味の役割だ! ディズニースゴイ! とか思ってたんですけど、別のオンライン辞書で調べたら「(暴動などの)首謀者, 張本人」と出てきて目が点になりましたよね。

いやいやいや、名前でネタバレ!? すごいけど! すごいけれども! なんだろう、ネイティブの人は気づかないの!? あ、でも羊でベルウェザーだからやっぱ「鈴付き羊」みたいなのを想像しちゃうのかな!?


あとニックの「ニック・ワイルド」はやっぱり最後のシーンなどにある、野生的なところにかけたのかなあとか。ジュディ・ホップスはぴょんぴょん跳ぶHOPにかけてHoppsなのかなあと。でもやっぱり壁を軽く飛び越えるとかの意味もあったら嬉しいよなあ深読みか。



とにかく色んな視点から見れる映画なので、オススメです。
監督とかのインタビューも読んでいくと、こういう意図なのか、と感心するものがたくさんありました。
犬や猫などペットとして人間に近い動物や家畜は登場させていない、肉食動物が何を食べているのか、とか、違う動物同士で子どもを生むことは可能なのか。ジュディのお隣の関係性とか、フィネックの実年齢とか!
こうやって調べていくとなるほど! となる楽しさを見いだせる映画です。

初期の設定資料などが掲載されているビジュアルブックも発売されています。







2016/08/23追記
DVDも発売されました!

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